外壁塗装の価格相場、失敗しない業者の選び方
外壁塗装を検討する際の注意ポイントは非常に多いです。
「価格・技術力・塗装実績・口コミ・地域密着・色・塗料品質・耐用年数・保証」など、検討すべき要素が多く、電化製品のように性能や品質が明確じゃないので、一般の方には判断が難しく神経を使います。
キッチンやお風呂のリフォームと異なり、外壁・屋根塗装は技術提供が商品の大部分なのでリフォームの中でも特に判断が難しいです。
業者選定において「価格相場が適正かどうか」が非常に重要です。
価格の仕組みや相場、訪問販売の仕組みなど、業者選定の注意事項を紹介いたします。
外壁・屋根塗装の価格について
外壁・屋根塗装の価格の仕組みは?
価格の妥当性をご理解いただくために、まずは「価格の仕組み」について解説いたします。
外壁・屋根塗装の価格構成は、以下のようになっております。
「塗料の材料費(単価×缶数) + 職人の人件費(単価×人数×日数) + 足場 + 利益」
外壁・屋根塗装は、塗料が商品にあたるわけですが、塗料が価格に占める割合は非常に小さく、職人の人件費の割合がほとんどです。
電化製品や車など品質が明確化している商品は、出来る限り安い価格で購入した方が得です。高額で購入しても格安で購入しても商品品質は変わりません。
外壁・屋根塗装の場合は、価格構成のほとんどが技術力や作業量などの人件費となります。
必要な技術力や作業量は住宅の状態によって大きく異なります。
築年数が浅い住宅や、定期的にメンテナンスが施されている住宅は、外壁や屋根の不具合も少なく下地補修も小規模で済みます。
下地の状態が良好であれば、大工や左官など特殊な技術を要する作業や、ケレン清掃などの作業が少なく済み、連動して塗装費用も安くなります。
概ね、築年数が15年以上で一度もメンテナンスをされていない住宅は、下地の不具合が多く、大工や左官作業など施工単価が高い工程や下地補修の作業量が増えるため、全体の塗装費用も高くなります。
一般的に新築に使う塗料は最低限の品質の場合が多く、シリコン塗装でも10年ほどでチョーキング現象や塗膜剥離が発生する事例が多いです。
チョーキングとは塗膜が劣化し表面に粉が吹き出す現象で、塗り替えの目安となります。
ということで、外壁・屋根塗装の価格構成は「技術+作業量」の「人件費割合が非常に大きい」ということを解説いたしました。
外壁・屋根塗装の妥当な価格は?
上述のように、外壁・屋根塗装の価格構成は人件費の割合が非常に大きいです。
したがって、相場を大幅に下回る金額で提案された場合は要注意です。塗装経験が浅い職人が担当したり、必要な工程を省かれる危険性もあります。
実際に激安の塗装専門店や量販店など、高圧洗浄を十分に乾燥させずに塗装を行ったり、下地補修を省いたり、3回塗りを2回塗りに省略する酷い手抜き工事が横行しております。
妥当な価格相場を把握する一番簡単な方法は、2,3社で相見積もりを取ることです。
複数社から見積もりを取る行為は非常に面倒です。
何社分も現場調査のスケジュール調整を行い、営業マンの提案を聞き、良し悪しを判断して、選定した塗装業者以外の業者を断らなければなりません。
しかし、適正価格や業者の良し悪しを判断するためには、非常に簡単で効果的です。
実際に営業マンや職人と顔を合わせて話を聞くことで、ご自宅の状況はもちろん、外壁・屋根塗装についても学習できるので、非常におすすめです。
営業マンの知識や職人の経験値、マナーなどをチェックしてください。長年続いている会社は職人のマナー教育を徹底しているので差が歴然です。
即日契約を急かす押し売り業者もいますが、契約を急かす業者は売ることしか考えていないのでお断りください。
リフォームは長期的なライフプランを加味して判断するべきです。じっくり検討することが重要です。
なぜ、訪問販売は高額なんでしょうか?
外壁・屋根塗装は業者によって価格の差が非常に大きいです。
例えば30坪のご自宅の外壁・屋根塗装で60万円、90万円、110万円、170万円など、普通の商品では考えられないくらい価格の差が大きいです。
まず、訪問販売で150万円以上の価格を提案されたらお断りしましょう。高過ぎです。
訪問販売が高額な理由は、営業マンの成果報酬が高いからで、品質や技術力が高いわけではないです。
販売価格の数%が営業マンの給料になるので、必然的に販売価格が高くなります。
「今日、契約してくれたら20万円値引きします!」など一気に高額の値引きで契約を急かす業者は要注意です。
住宅リフォームは即決するような商品ではないです。長期的なライフプランに関わりますので十分な検討が必要です。即決を急かす業者はお断りください。
全ての訪問販売業者が悪いわけではございません。お客様の中にはインターネットや店舗で買い物するのが嫌いな方や、様々な事情で物理的に訪問販売でしか買い物できない方もいらっしゃいます。
目安としては、30坪で150万円以上の提案だったらお断りください。
価格が安過ぎる場合も危険
外壁・屋根塗装は価格が安すぎる場合も危険です。
一昔前から、「30坪のシリコン外壁塗装で598,000円」という価格設定がスタンダードになっております。相場よりも少し安めで非常にお買い得な価格だと思います。
昨今は過当競争の激化で、「30坪の外壁塗装が30万円代」で広告されています。
実際にいくらで販売されているか不明ですが、以下のような広告が横行しております。
30坪の一戸建ての住宅をシリコン塗料でまともに塗装して、全てコミコミで30万円台で仕上げることは不可能です。
通常60万円程度で請け負う塗装リフォームを30万円台で提供するためには、利益を減らすだけでは不十分で、材料費や人件費を下げる必要があり、手抜き工事に発展するケースが多々あります。
塗装業界の「手抜き塗装あるある」を紹介します。
【 コーキングの打ち増し 】
目地部分のコーキング打設作業は、通常古いコーキング材を剥がして細かい破片を除去して、シーラーを塗ってから新しいコーキング材を打設します。
▶ 手抜き業者は元のコーキングの上から打ち増しし、材料費と作業時間を削減します。
【 高圧洗浄後の乾燥期間 】
通常、高圧洗浄後は乾燥期間を十分に確保し、完全に乾燥させてから下塗り塗装を行います。乾燥が不十分な状態で塗装すると塗装後に水分が蒸発し塗膜が膨らんだり、塗膜剥離の要因となります。
▶ 手抜き業者は安価で多数の案件をこなすので、乾燥期間を短縮して塗装を行います。
【 塗料費用の節約 】
塗料は「1缶で◯◯㎡」と、メーカー推奨の塗装面積が決まっております。ある程度の塗膜の厚みを確保しないと耐候性が損なわれ十分な耐用年数を確保できません。
▶ 手抜き業者は材料費を節約するため、塗料に水を加えて量増しします。
【 塗料費用と人件費の節約 】
外壁・屋根塗装は「下塗り・中塗り・上塗り」と3回塗装を行います。3回塗装を行うことで塗膜の厚みを確保でき耐候性・耐用年数が高まります。
▶ 手抜き業者は「下塗り・上塗り」の2回塗装のみで、材料費と人件費を節約します。
【 下地補修の省略 】
高圧洗浄後に「クラック補修」や「塗膜が剥げた箇所のケレン清掃」など、下地補修を入念に行い塗装します。下地補修を入念に行うことで塗料の密着性や耐候性を高めることができます。そもそも下地の補修を怠ると不具合が進行するので非常に重要な工程です。
▶ 手抜き業者は人件費削減のため、下地補修を省略してそのまま塗装します。
【 職人単価の節約 】
外壁・屋根塗装の職人はある程度以上の塗装の訓練が必要です。特に下地補修は外壁のことを理解していないと最適な処置ができません。
▶ 手抜き業者は人件費が安い外国人や日雇い労働者が塗装を行い経費を削ります。
相場より著しく価格が安い場合は、安くできる理由があるのです。相場の価格よりも少しだけ安い価格を狙って値下げ交渉しましょう。
適正な相場を知る方法は2,3社の相見積もりが有効です。
オリジナル塗料には要注意!
オリジナル塗料をすすめる塗装業者がいますが、オリジナル塗料はおすすめしません。
当然、材料費を安くするために自社のオリジナル塗料を提案するわけで、塗料の品質が高ければメリットですが、品質が低い場合がほとんどです。
オリジナル塗料といっても、高品質の塗料をまじめに開発研究しているケースは稀です。ほとんどの場合、量販店で販売しているような安い塗料をメーカーから直接仕入れてラベルを変えて販売しています。
外壁・屋根塗装で使用する塗料の種類は非常に種類が多く、同じシリコン塗料でもピンからキリまでございます。
例えばUV非対応の場合は非常に安価です。UVとは紫外線硬化のことで塗装後に太陽光を照射すると紫外線によって塗膜が固まる技術のことです。
オリジナル塗料はUV非対応が非常に多いです。
一般の方には判断が難しいので、良し悪しを判断できる方以外はオリジナル塗料はお断りしましょう。